「ニキーチンの積み木」で有名な、ニキーチン夫妻の書『ニキーチンの知育遊び』には、幼い子どもなら誰でも持つ”創造的能力”を、伸ばす方法について記されていますが、子どもの創造的能力を伸ばすには、親のかかわり方が大きく影響する様です。
具体的に親は子どもにどう関わるのがベストなのでしょうか?また反対に、親としてやってはダメな事とは何でしょうか?まとめてみました。
どのようにして才能を伸ばすか?
才能を伸ばす第1の条件は、早くから始めることです。
ハーバード大学の科学者の研究によると、子どもの知能の差は、2歳ごろになると、もうはっきりしてくるが、9~10ヶ月の子では、、能力の差はほとんどなく、10~1年6ヶ月の間で、何か重大なことが起こり、それによって将来の知能の発育がきまってくる、のだそうです。
また、2歳から5歳までの子どもの大半は、天才的な言語感覚を持っており、1歳までに周囲から適切に話しかけられていれば、その能力を発揮できます。
言語と同様、他の能力についも、早くからそれに触れさせる事が大切です。
第2の条件は、子どもの様々な活動を刺激する様な、そして、それぞれの時点でその才能を十分に発達させるような環境を整える事です。
ニキーチン家では、工作室を作り、道具や木の切れ端、針金、、積み木、レンガ、計測用の器具をも揃え、その延長で、「ニキーチンの積み木」で有名な、知育遊びを備えたそうです。
こうしたものを通じて、子どもは創造的能力を必要とする難しい問題を解くことを覚えました。
その他、例えばハイキングなど、子どもが自分で多くの事をやらねばならない環境にたびたび置き、さまざまな活動の中で自分をためしていく力を養いました。
想像力発達のための第3の、きわめて重要な条件は、創造の過程というものの性格からくるもので、「最大限の力を出し切らねばならない」ということです。
人間は、なるべくひんぱんに、自分の持つ力を、その限界まで出し切って活動し、そして、その限界を少しずつ高めていくようにすればするほど、能力が発達します。
これは、昔から知られていることです。
第4の条件は、子どもには大きく自由を与えなければいけない、ということです。
”強制は創造の敵である”
ニキーチン夫妻は、つとめて、子どもが自由にふるまうようにしむけました。
何をどの順番でやるか?どのぐらいの時間で、どんな方法でやるか?すべて子どもの自由に任せました。
そして、機会さえあれば、かならず子どもと一緒になって遊んだり、何かを一緒に作ったりするようにつとめ、うまくいったときは、もちろん一緒に喜び合いました。
その結果、子どもはのびのびと、好奇心強く、丈夫で、忍耐力もあり、判断力もしっかりし、何をやらせても上手くやってのける子に育ちました。
第5の条件は、自由の中でも親が干渉する場面の見極めです。
自由にまかせるといっても、押しつけがましくない範囲の賢明なやり方で、大人が手助けしてやることまでいけないというのではありません。
むしろ、そういう手助けは必要です。
ここで難しいのが、自由だからといって、悪い事をしても叱らないとか、手助けをすると称して、傍らから口を出して教えてしまう、などという事にならない様にするのが大切です。
子どもが自分でできる事を、子どもに代わってやってしまってはいけません。
子どもが自分で考えられる事を、子どもに代わって考えてやってはいけません。
残念ながら、傍らから教えてしまうのが、子どもへの手助けで一番やってしまいがちですが、これは子どもにとって害にしかならないのです。
子どもの世話をやく事は、想像力の芽を摘み取ってしまうのです。
宇宙飛行士の父、ツィオルコフスキーは、創造的知性の誕生の秘密をのぞかせてくれるような、次の言葉を残しています。
「最初、私は多くの人に知られている真実を発見した。次に、いくらかの人達に知られている真実を発見し、最後に、誰にも知られていない真実を発見するようになった」
知性の創造的な面が確立される道筋は、おそらくこういうものだと思います。
私たち大人がしなければならないのは、子どもたちをこの道筋に立たせてやることなのです。
〈参考図書〉