子供は、手でいろいろなことができるようになる1才半ごろから、「できるようになる」ことに喜びを覚え、自信があらわれてくるといいます。
そしてその自信が、また次の段階へ挑戦しようとする意欲につながっていく為、自分の手を思い通りに動かすのに必要な技術をしっかり自分のものにしていると、つぎつぎに挑戦し、創り出す喜びを味わっていきます。
モンテッソーリの教えでは、自分の手を思いどおりに動かす為には、「折る」「切る」「貼る」「縫う」の4つの作業を習得するのが良いとされています。
そしてそれらは、4才前後に十分に訓練することで、手先や指の筋肉運動の調整がなされ、決定的に構成され、定着していくものなのです。
就学後に「読み」「書き」「計算」が大切な基礎とされていますが、就学前には、「折る」「切る」「貼る」「縫う」をしっかりと身につけ、手先を思うように操る技術を身につけさせていですね。
下記にそれぞれの具体的方法を記載します。これらは『お母さんの敏感期』相良敦子氏著より学ばせていただきました。
とても人気のある書籍です。興味のある方は是非、読んでみて下さい。
《目次》
1.「折る」
折り紙は、子供の手に合ったサイズ(10×10cm、7.5×7.5cmなど)を使います。
まずは三角折り(1回だけ折って三角をつくる)を何回も経験することが大切。
1本指(人差し指の腹)で、折山をしっかりおさえることが折り紙の基本。
子供には「アイロンがけをしよう」という表現で、折り目をつけます。
次に、三角折りをもう一回折って、二回折りをします。すると机の上に立つので子供がは喜びます。これを基本として、段階をおっていろいろなものに挑戦していきます。
4才後半から5才になると、大きいサイズ(15×15cm)の折り紙を加え、さまざまなサイズで折ることで、作品のサイズが変わることが楽しくなります。
先を急がず、何回も同じものを折り続け、より正確に折れるようになることが重要です。
同じものがたくさんできますが、それを台紙に貼ったり、つないだりして、さらに立体的な作品に仕立てる工夫をしましょう。
〈応用〉
・折ったものを貼る
折ったもの、いろいろお話しながらを台紙に貼っていくと、どんどん想像力が広がっていきます。
同じ形で色が異なるものを組み合わせて、美し図柄を構成していきましょう。子供が思いがけないほどの工夫をし、展開していくのが見られます。
・折ったものに貼る
折ったものに目を書いたり、模様を描きこんだりします。
穴あけパンチで穴をあけたり、のりでつないだりします。どの指でのりをつけるか工夫すると、より細かく指が動くようになります。
2.「切る」
薄手の張りのある紙を用意します。切るのに力が少なくてすみ、また片手で持っても紙が曲がらずに真っすぐになる紙が適切です。
①切り落とし(1回で切れる短さ)
②切り落とし(連続で切る長さ)
③切り落とし(切る目安の線を増やす)
④曲線 カーブをだんだんきつくしていきます
⑤うずまき 最初はかならず逆時計回り
⑥波線
⑦かどを切る 切る途中で刃先を方向転換させます。かどを意識するために、かどに印をつけると良い
⑧かどのうずまき
⑨ギザギザ波線
⑩切り抜き
⑪二つ折り図案 紙を半分に折って切り、広げると模様が完成するもの
3.「貼る」
のり貼りの前段階で、シール貼りで規則的に貼る練習をしておきます(2才からできる)
丸、三角、正方形、長方形などの小さいシールをたくさん用意し、直線、円状、図案の内側に埋めて貼る、など台紙に規則的に貼っていきます。
次に、色別に貼ったり、形の違うシールで構成張りをします。
それを踏まえて、のり貼り(図形貼り)へ進みます。
用意するものは、のり、のり刷毛、スポンジ(押さえ用)、台紙と図形、のりずけの下敷き、です。
・図形を形に合わせて貼る
①丸を1つだけ貼る(上下左右対称)
②同じ図形で数を増やす(対称形でないもの、ハートなど)
③多種の図形を組み合わせる
・図形の見本を見ながら構成する
①線に合わせて貼る
②組み合わせる事で完成する図柄を作る(四角と三角で家、丸と線と三角で花、など)
・見本がなくても自分で好きな様に構成する
・幾何学模様をつくる
・応用として立体的なものを貼り合わせたり、紙をちぎったりして貼る(→工作へ発展)
4.「縫う」
「縫う」以前に、紐通しなど「通す」作業をいろいろ経験しましょう。
用意するものは、毛糸用とじ針、毛糸(中細)、穴あけ用針(キリ)、穴あけ用下敷きの台紙、等間隔に印をつけた図案
①図案の印の箇所に、端から順に穴をあける
②針に毛糸を通す
③毛糸の先二本を合わせて結ぶ
④左手で図案を持ち、裏側の端の穴から針を通す
⑤表に返して針を引く
⑥④⑤を繰り返し、最後の穴まで通したら、毛糸を5cm残して切る
⑦針を箱に戻す
⑧二本の毛糸を左右に分け、結ぶ
※図案は、直線→曲線→かんたんな図柄→クロスステッチ と段階をおって作成し、点は1.5cm程の間隔で偶数にする。
〈参考図書〉
〈関連記事〉